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水泳のトレーニングにおける血中乳酸値の活用方法

 血中乳酸値を用いてトレーニングの効果を評価する場合には、泳運動後に測定された「血中乳酸濃度」を用いた血中乳酸カーブテストが多用される。血中乳酸濃度は必ずしも運動強度に比例して増加するのではなく一般的に図のようなカーブを描く。水泳競技のトレーニングの上で、血中乳酸カーブテストのポイントは次の2つである。


1.OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation):オブラ
 「血中乳酸濃度が概ね急増し始める4mmol/Lの時の運動強度」と定義され、OBLAが右にシフトするほど疲労せずに高い運動強度で運動できるということを意味する。したがってアスリートにおいてOBLAは持久的運動能力の指標である。運動持続時間が長いほど、最大酸素摂取量よりもOBLAの方が運動成績と密接に関係することがわかっている。

2.最大血中乳酸濃度
  全力泳後に測定された乳酸値が最大血中乳酸濃度である。無酸素性エネルギー供給系が最大に動員されるということはつまり、いかに多くの乳酸を作れるかということでもある。すなわち、最大血中乳酸濃度はある程度無酸素エネルギー供給能力や短距離種目の泳成績の指標として使うことができる。

血中乳酸カーブテスト方法
 乳酸カーブテストは短距離(200mまで)選手であれば200mで、中・長距離(400m以上)選手であれば400mで行う。具体的な方法を下図に示す。いずれも十分な休息時間をはさみながら最後の1本は最大努力で泳ぐようにする。採血は運動直後に行う。泳速度と血中乳酸濃度をプロットしOBLAの泳速度、最大血中乳酸値を指標とする。プロットにはアークレイの無料ソフトウエア「MeQnet LT Manager」を使用すると簡便である。

乳酸カーブテストの頻度
 年に4回(3ヶ月に1回くらい)でよい。大会に向けて調整している場合であれば、合宿の前後や高地トレーニングの前後などに血中乳酸カーブテストを行うことで、トレーニングの効果やコンディションを確認することができる。

乳酸カーブテストの推移の見方
 一般的に、トレーニングを行うと乳酸カーブは右にシフトする。OBLAの泳速度は上がり、より速く楽に泳ぐことができるようになる。また、最大血中乳酸値は試合などのタイムと比例することが多い。つまり、選手が出し切ることができるパワーの指標となる。最大血中乳酸値が選手はそれだけもっと早く泳げる可能性を示す。これまでにより高い最大血中乳酸値を出していたにも関わらず、トレーニングを行っても泳速度が伸びない場合は、乳酸の原料となっているグリコーゲンが足りない場合(スタミナ切れ)や、選手の体調不良などなんらかの原因があることが多い。

 トレーニング方法にはさまざまなものがあるが、泳速度を上げたり、記録を伸ばすためのトレーニングを行う場合には、ある程度乳酸が蓄積する強度でのトレーニングが必要である。つまりOBLA以上の強度を目安にするとよい。