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サッカーにおける乳酸の捉え方

 様々なレベルのサッカー選手を測定すると、サッカー選手の能力の違いは、筋力や無酸素性能力(高強度運動を遂行する能力)の違いとしてあらわれます。ボールの競り合いやゴール前での一瞬の速さなどは、サッカーの試合結果に直結するので、筋力や無酸素性能力がサッカー選手の能力を反映しやすいのは当然かと思います。しかし、だからといってサッカー選手に有酸素性能力が要求されないということではありません。サッカーの試合のエネルギーは98%が有酸素性機構によって供給されるため、サッカーは本質的に有酸素性のスポーツであるといえます。サッカーの動きは高強度運動が休息をはさんで繰り返されることが特徴です。繰り返される高強度運動に対応するには素早い回復が必要であり、そのためには有酸素性能力の高さが要求されます。したがって、有酸素性能力が高ければ高いほどそれはその選手の武器になります。
 つまりレベルの高いサッカー選手は、一定水準の有酸素性能力をベースにしてそのうえに高い筋力や無酸素性能力を備えています。ここで“一定水準”とはどれくらいか?ということが問題になります。サッカー選手の有酸素性能力を知るためには、フィールドテストやVO2max、乳酸カーブテストなどいくつかのテストがあります。Yo-Yoテストなどのフィールドテストはサッカーに近い動きが再現できるという利点があります。したがって、実験室的なテストよりも試合のパフォーマンスを反映しやすいといえます。
 これに対して乳酸カーブテストの結果は、フィールドテストとは異なる情報を提供すると考えています。つまり、様々な要素が絡む試合における持久性パフォーマンスではなく、選手のベースにある有酸素性能力を抽出し評価するものと捉えています。
 乳酸カーブテストには、選手をオールアウトに追い込まなくても良いという利点があります。多くの実験室テストやフィールドテストは選手をオールアウトに追い込むことを前提としており、ケガ明けや試合が近いときなどは避けたい場合があります。また、サッカーは有酸素性能力がパフォーマンスに直結するとは限らないため動機づけに繋がらず、オールアウトのテストでは全力を出さない選手もいるでしょう。これに対して、乳酸カーブテストはより安全に動機づけによらない客観的なデータが得られます。
 さらに、有酸素トレーニングの適当な強度の目安が得られることも大きな利点です。サッカー選手としての“一定水準”を知るための評価基準があれば、その選手の位置づけがわかることに加え、有酸素性能力を高めるためにその選手に適したトレーニング強度を知ることができます。